お客様相談Q&A

第1章 お葬式とは?

  • お葬式をする意味は?
  • 人間は古い昔から、身近な人を喪った時、その人が生き返ってほしいと願い、どうしても生き返らないと感じとった時には悲しみ、嘆き、そのご遺体にお別れを告げ、そして大切に葬ってきました。
    これはお葬式そのもののプロセスです。お葬式は「しなければならないもの」ではなく、人間として自然に営んだ、せざるを得ない行動だったと思うのです。
    民族や歴史、文化、宗教の違い、家族関係の違いなどにより、お葬式の執り行い方はさまざまです。しかし、共通することは、亡くなった人のことを深く思い、その人との大切な関係を心に刻み、深く悲しみ、鄭重に弔うということです。そして家族はもとより、その人と人生を分け合った人たちが、一緒に心をこめて送り出し、葬ってきたということです。
    近年「家族葬」が注目されています。「故人と親しかった人々が充分に別れの時をもち、温かく見送る愛の溢れたお葬式」をしたい、ということで最初は選ばれていました。しかし最近は、元々の意味とは違って「簡単に、安く、死体の処理をしてしまうこと」という誤った認識もなされています。本来、いかなる人であっても、尊厳をもって葬られる権利があります。
    「家族葬」を選択された方が後悔することで多いのは、故人と親しくしていた人や当然通知すべき人に連絡がいかず、その方々が悔いを残し、また会葬できなかった人から葬儀後に問い合わせ、弔問が相次いだということです。また「死亡した」という事実を隠すような結果になり、精神的な区切りが充分につけられないという危惧があることも指摘されています。 悔いのないお葬式をしたいものです。

第2章 いざという時

  • 死亡が判定される時は?
  • 人の死は、法律的には病院死や自宅死で主治医がいる場合には「死亡診断書」を、突然死や事故死等の場合には警察医(監察医)が遺体を検査し、「死体検案書」を発行されたことをもって確定します。したがって死亡診断書または死体検案書が死亡届提出の必須条件になります。
    伝統的に①呼吸停止②心拍停止③瞳孔散大(どうこうさんだい)・対光反射消失(たいこうはんしゃしょうしつ)が「死の三徴候」と言われ、医師はこの3点の不可逆停止によって死の判定を行っています。そして一般に呼吸を停止した時刻あるいは脈がとれなくなった心拍停止の時刻をもって死亡時刻としているようです。

  • 病院からご遺体が搬送される時は?
  • 事前に決めておいた葬儀社に電話をして、病院名・棟名・病室名・亡くなった本人の名前・家族の名前、緊急連絡先の携帯電話番号等を知らせ、迎えに来てくれるよう依頼します。
    連絡を受けた葬儀社は寝台車を手配し、病室または霊安室に迎えに来ます。
    また、遺体の搬送先を決める必要があります。
    最近、病院から直接、葬儀専門の会館や遺体保管所に搬送することがあります。しかし、可能ならば、いったんはご本人が暮らした場所である自宅に安置し、ご家族で亡くなった方と一晩ゆっくりとお別れのための時間をとる、ということも考えてみましょう。

  • 宗教者(僧侶、神職、神父、教師)への連絡は?
  • 亡くなった人がどこかの寺院・神社・教会に属して浸いた場合には、安置場所が決まり次第、その宗教者に連絡します。キリスト教会の神父や牧師は、危篤・臨終の場にも立ち会うことがあるので、連絡は早めに行います。
    仏教の場合には、必ず檀那寺(檀家となっている寺、お手次寺、菩提寺)に連絡し、死後できるだけ早く枕経をあげていただきます。枕経の時には、家族は普段着のままでかまいません。死者の枕辺に集まり、一緒にお勤めします。
    キリスト教の場合にも牧師や神父にお祈りをしていただきます。
    2014年(財)日本消費者協会調査によると、日本では宗教者に依頼して葬儀を行うのが約95%です。仏教で行うのが最も多く91.5%、神道が1.4%、キリスト教が1.7%です。特定の宗教宗派によらない無宗教葬(自由葬)は4.0%です。
    宗教者にお願いして葬儀をしていただく場合、できるだけ事前にお願いする宗教者を決めておくとよいでしょう。宗教者が生前の本人を知っているかどうかで宗教儀礼も大きく変わります。(檀那寺等がなく、宗教者を依頼したい場合は葬儀社が相談に応じます。)

第3章 お葬式の準備

  • 葬儀社の選び方の基準は?
  • 葬儀社は日本全国に5,000社以上あります。その時になって探して、その家族の希望に合った葬儀社を選ぶというのは至難の業です。
    できれば事前に面接して選んでおきたいものです。
    選ぶ基準は次の9点です。

    1. 相談者の話に熱心に耳を傾け理解しようとしているか。
    2. 相談者の身になって考えてくれているか。
    3. 提供するサービスや商品についてわかりやすく説明しているか。
    4. 葬儀について、ビジネスとしてだけではなく、きちんとした使命感をもっているか。
    5. 料金についての説明が丁寧でわかりやすいか。
    6. 厚生労働省認定葬祭ディレクター技能審査試験に合格した葬祭ディレクターがいるか。
    7. 依頼した条件での見積書を作ってくれて、持ち帰ることができるか。
    8. 「全葬連葬祭サービスガイドライン遵守事業者」であるか。
    9. 近所にお店をもつ葬儀社であるか。

    お葬式の「良い・悪い」の評価は、料金の安さだけではありません。
    提供されるサービスの質の高さも併せて評価したいものです。

  • 事前に考えておくことは?
  • できれば葬儀社との打ち合わせの前に、ご家族でどういう葬儀がいいのか相談しておくといいでしょう。

    1. 故人をどういう想いで送ってあげたいか
      これが最も大切なことです。
    2. 宗教の確認
      仏教では「口口宗の△△寺の○○住職に頼みたい」などと具体的に決めておきましょう。
      無宗教葬も一つの選択肢ですが、家族の意見の一致が困難な場合があります。また、入ろうとしているお墓がお寺の境内墓地の場合、あくまで檀信徒用なので、納骨できないこともあります。
    3. どういう人に通知するか
      故人のためのお葬式ですから、故人が親しくしていた人たち、会社時代の仲間、サークルの仲間、地域の仲間など、と具体的に考えてみましょう。故人に来ていた年賀状などが参考になります。
      家族が想像する以上に、故人は広い豊かな人間関係を築いているものです。
    4. 喪主を誰にするか
      「喪主」は遺族の代表者です。一般には配偶者や長子が務めるケースが多いです(但し、本人が事前に指定していた場合は、指定された人が喪主になります)。
    5. 予算
      葬儀には香典という収入もあります。保険金もあります。事前に自己負担できる金額を決めておくといいでしょう。
    6. 会場
      最近は、葬儀専門の会館、火葬場やお寺に付設された式場でのお葬式が多いです。しかし、キリスト教徒は教会で行うのが普通ですし、寺院の檀信徒(門徒)ならば、寺院というのも選択肢に入ります。また、故人が自宅で安らぐのがいちばん好きだった場合、自宅も有力な選択肢になっていいでしょう。
    7. 遺影写真
      どういう写真を選ぶかは大切な作業です。希望すれば、式場等にメモリアルコーナーを作り、「思い出写真」を展示することもできます。思い出深い写真を多めに選んでおくといいでしょう。
      その他、故人のお名前の正確な文字、読み方、略歴も用意します。
  • 悔いのないお葬式にするための打合せ
  • いい葬儀社の担当者であれば、まず具体的な打ち合わせに先立って、ご家族の意向に耳を傾け確かめます。ご家族の意向を葬儀社がきちんと理解しないと、葬儀社からそのご家族に合った葬儀の提案もできません。お葬式というのは、それぞれのご家族で違って当然なのです。
    葬儀社の担当者は細かいところまでご家族に質問するでしょうし、またご家族は、わからないことはどんどん質問しましょう。一般の方で「お葬式のプロ」の人はいません。わからないことは恥ずかしいことではありません。大切なご家族の葬儀です。細部まで納得するまで話し合いをしましょう。
    喪主あるいは施主としてお葬式の運営に責任をもつ方は、打ち合わせのときは最後まで席にいてください。
    後から「知らなかった」と悔いを残すことがないように。

第4章 お葬式の実際

  • お葬式にかかわる費用の構成は?
  • お葬式にかかわる費用は大きく分けると、
    ①葬儀社経由で支払う費用
    ②宗教者へのお礼
    ③家族が直接支払う費用
    の3つに分かれます。
    ②の宗教者へのお礼は、目安については葬儀社が相談にのることもあるでしょうが、むしろ宗教者と直接お話をして、葬儀のお願いをしお礼するものです。お願い・お礼もご家族が直接行いましょう。
    宗教者へのお礼は料金制ではありません。それぞれのご遺族の宗教者との関係や経済事情によっても異なります。それぞれが自分たちにできる精一杯のお礼をするのがいいでしょう。
    ちなみにお布施等の宗教者へのお礼には、水引のついた袋は用いずに白封筒に入れて渡すのが通例です(弊社でご用意します)。お会いして直接の手渡しが原則です。かつては「寺参り」といい、葬儀の翌日にお寺に参ってお礼するのが正式とされていました。現在は、葬儀の前にお渡しすることが多く、地域習慣もあることから、葬儀担当者に相談するとよいでしょう。
    ③の家族が直接支払う費用は、親族の交通費、宿泊費、食費等で、そのご家族の事情によって変わり、葬儀社には関係しない費用です。おおよそ10~20万円は見込んでおくといいでしょう。

  • 葬儀社への支払い料金は?
  • 『お葬式にかかわる費用の構成は?』の①の葬儀社経由で支払う費用ですが、これは大きく4つの項目からなります。
    (1)基本項目
    自動車でいえば車の本体価格に相当します。車でも車種・用途・グレードによって価格が変わるのと同様に、葬儀でもプランによって変わります。
    (2)オプション項目
    それぞれが必要に応じて選ぶもの。自動車でいえばカーナビやサンルーフ等の特別仕様料金にあたるものです。
    (3)立替項目
    式場料、火葬料、霊枢車の運賃等、葬儀社が立て替えて支払う費用。
    (4)変動項目
    会葬者や会食への参加者数によって変動する費用。会葬返礼品・料理等の費用。
    葬儀社により(1)基本項目に含むものと(2)オプション項目になるものなど、内容が変わっていることがあります。(1)基本項目には、祭壇という基本的物品に加えて、さまざまな相談、案内、運営といった、葬儀に必要な人的サービスが含まれています。

  • お葬式費用の相場は?
  • 葬儀費用の全国平均を見てみましょう。
    『葬儀社への支払い料金は?』で述べたように、葬儀社経由で支払う費用ですが、基本項目・オプション項目・立替項目の合計で1,222,000円、それに飲食接待費用が339,000円です。宗教者へのお礼は446,000円です。これだけを合計すると2,007,000円です。これには「家族が直接支払う費用」は入っていません。
    実はこの調査は、全国の単純平均費用ですから、会葬者が500人の大きな葬儀も10人だけで行った小さな葬儀も入れての平均費用であり、実際にはさまざまです。(2014年(財)日本消費者協会調査)
    ここに東京のある葬儀の費用例があります。あくまで一例です。82歳の男性の葬儀で、葬儀社の会館で葬儀をしました。親族が30名、その他の参列者が70名、仏教の真言宗でのお葬式です。基本項目が700,000円、オプション項目が174,650円、立替項目が157,500円、料理・お返し等の変動項目が493,600円で、1,525,750円でした。(参考:平成21年前期特定サービス産業動態統計調査では全国平均1,490,362円)
    この葬儀の場合、親戚の香典が平均30,000円、その他の参列者の香典の平均が8,000円でしたので、香典収入の合計額は1,460,000円でした。
    お寺へのお布施は、直接お寺にしています。40万円くらいだったとのことです。この結果、遺族の自己負担額は、その他の費用を入れても約500,000円でした。

    葬儀費用は、プランやオプションの選択により大きく異なります。また、料理・返礼品(注)は「変動項目」というように、実際に参列する親族の数、会葬者の数によって変動します。(注:「返礼品」は地域により「粗供養」「香典返し」「会葬(礼)品」等と呼ばれます)
    大都市では葬儀そのものにかける費用が高く、地方では飲食費に費用をかけるという傾向が見られますが、地域ごとに違いがあります。

    ホテルの例で考えてみましょう。泊まるということでは一緒です。カプセルホテルでは安いのもので3,000円というのがあります。ビジネスホテルですと7,000円程度、シティホテルでは12,000円程度、一流ホテルでは30,000~50,000円と大きく違います(以上1泊1人あたり)。
    サービスのグレード(質)によって違います。ホテルの場合、誰もカプセルホテルと一流ホテルとを比較はしないでしょう。しかし、葬儀ではそうした比較が横行していて残念です。

    葬儀でも、「サービスは期待しない。安ければいい」というのであれば安価なプランがあります。「きめの細かなサービスを」というならそれに適切なプランがあります。
    要は、どういった内容のサービスを希望するか、そのお金に見合ったサービスを提供してくれるか、という問題です。
    表面の料金だけではなく、提供してくれるサービスの内容や質をも考えて、納得できるプランを選ぶことが大切です。

  • 葬儀社は事前に見積書を発行してくれるか?
  • 事前に見積書を発行してくれない葬儀社なら、依頼しないで断ったほうが安全です。希望をはっきり話して、それに基づいた見積書を出してもらい検討しましょう。
    見積書の段階で確定しないのは、料理や返礼品という会葬者の数によって変動する費用です。見積書段階では「親族30名、その他参列者70名と事前に想定した場合の料金」で計上、「請求書」の段階で、実際の参列者数等により確定した金額になります。「見積もり」段階では、遺族の方が「全部でせいぜい50名くらい」といっていたのに、実際は200名くらい参列したという例も少なくありません。返礼品は、一般品の場合には使用した分の精算になっていますので、多めに予測しておいたほうが安全です。

    消費者アンケートを調べてみると「思ったよりも高かった」原因の多くは「会葬者数が予想より多く、返礼品代などがかかった」というものです。会葬者数の予測では、家族だけで予測するのではなく、故人の親しかった人の意見も参考にして予測するとよいでしょう。
    しかし、お葬式には「かかる費用」だけではなく「収入」もあります。会葬者数が増えると総費用は高くなるのですが、香典も多くなり、むしろ遺族の「自己負担額」は少なくなります。

  • お葬式の日程、進め方?
  • お葬式の日程のとり方はさまざまです。
    また、地域慣習による違いもあります。北日本を中心に、葬儀に先立って火葬をする「先火葬(さきかそう)」「骨葬(こつそう)」地域があります。

    (1)2日のケース 死亡して24時間経過しないと一般には火葬することができませんので、最も短い日程です。死亡当日の夕方に通夜、翌日に葬儀して火葬。しかし、この日程はあまりお勧めできません。家族、親族や知人への連絡も難しいですし、慌しくて、亡くなった方としっかりお別れができないからです。

    (2)3日または4日のケース 亡くなった当日は近親者だけでお別れし、翌日タ方に通夜、3日目に葬儀。これが普通の日程です。しかし、火葬場の休みの日が入ったり、宗教者の予定がつかなかったり、関係者への連絡が滞り、1日延びて4日になることもしばしばあります。

    (3)5日以上のケース 季節によってはご遺体の保全が難しいところです。関東北部から北、新潟・長野・静岡・熊本の一部のように、先に火葬をする場合には、遺骨は腐敗しないので、後はゆっくりと葬儀の日程がとれます(葬儀の前に火葬をするので「骨葬」といいます)。また、エンバーミング(遺体衛生保全処置)をすれば、腐敗が進行せず、2週間程度はご遺体を安全かつ衛生的に保全できます。

    (4)その他のケース 近親者だけで密葬(火葬)を行うことにより、本葬あるいはお別れ会を、1ヵ月後でも自由に設定できます。
    社葬・団体葬など、広範囲な連絡を必要とし、準備に日程を必要とする場合にはこの方法をとります。

  • お葬式の流れ
  • 地域によって違いがあります。最も基本となる流れを紹介します。

    1. 臨終当日
      臨終の時に看取った人による「末期の水(死水)」を最初として、医療関係者等による「死後の処置」、遺体を搬送し安置しての「枕経」(仏教の場合)、役所に「死亡届」を提出し、「火葬許可証」を交付してもらう…ここまでが死亡当日にすることです。宗教者や葬儀社と打ち合わせをして葬儀の日程、場所、手順を決め、各方面に連絡を開始します。
    2. 納棺等の遺体処置
      通常2日目には近親者で「納棺」をします。これに先立って遺体処置のオプション(専門家に依頼するときは別料金)があります。以下、遺体処置の2つのオプションについて説明します。
      (1)映画『おくりびと』にもあった「納棺」、遺体をあらため、消毒等の処置をして死装束に着替えさせる作業(昔ながらの修行僧の姿である経帷子を着せ、手には手甲、脚に脚絆、頭陀袋をかけ足袋に草鞋姿、手には杖、という姿にするもの。浄土真宗のように白衣を着せるもの、最近ではその人らしい服で、という希望もあります)。
      (2)「エンバーミング」もあります。北米でよく行われる遺体の消毒殺菌・お顔の整え、防腐、修復、化粧という一連の処置です。これは遺族の自署による依頼書が必要とされ、専門施設でエンバーマーという技術者の手で約3時間にわたって行われます。2週間程度は遺体を安全に保全でき、事故等で損傷した場合には修復も行います。死後48時間以内の処置が理想的です。着替えが済んだご遺体を近親者の手で棺に納めます。
      近親者は荼毘(だび)に付されるまでご遺体の側で過ごします。この時間が大切です。
      故人を思い、一人ひとりが充分にお別れの時間をもつといいでしょう。
    3. 通夜
      一般に2日目か3日目に通夜を行います。通夜儀礼が行われた後、宗教者によるお話(説教、法話)があります。その後のもち方は地域によって違います。軽食を出して故人の思い出話などをする地域、茶菓による接待にとどまる地域もあります。近親者はご遺体と過ごす最後の時間となりますから、弔問客はあまり遅くまで長居をしないよう心がけましょう。
    4. 葬儀
      一般に3日目あるいは4日目、葬儀をし、棺を開けて一人ひとり最後の対面をしてお花を入れ、棺の蓋をし(地域、宗派によっては釘打ちをし)、霊枢車で火葬場に向けて出棺します。
      東北地方等の骨葬習慣のある地域では、先に火葬をし、その後に葬儀をします。
      霊枢車まで親族が葬列を組む地域もあります。
      火葬場では、立ち会う人が炉の前でお別れし、控室で茶菓あるいは食事をして待ち、火葬が終了したら骨上げ(拾骨、収骨)をします。関西では一部の骨、東日本では全骨等、地域により大きく骨上げ習慣が異なります。火葬場は全国的に公営が多いですが、東京では民営が多い、という違いがあります。
      その後、還骨法要(ところにより初七日の繰り上げ法要も併せて行います)をし、会食して終わります。東北では葬儀終了後に墓地での納骨を済ませたりします。葬儀後にもたれる会食の席は「精進落とし」、「精進上げ」、「お斎」、「忌中祓い」、「仕上げ」等、地域によりさまざまに呼ばれていて標準的な名称はありません。
  • 香典、供花とそのお礼は?
  • お葬式では親戚、関係者から香典、供花をいただきます。
    「香典」は、元来「香奠」と書き、「香を供える」という意味の言葉です。かつては地域の人が中心になって葬儀をしたので、近所の助け合い、相互扶助の意味で使われたこともあります。しかし、近所の方の場合にはお金よりも労働奉仕が多かったようです。
    香典や供花には、贈る人の、「亡くなった方を惜しみ、弔うことを、何かの形で表現したい」という想いがあります。金額は人によってそれぞれですが、こめられた弔意、託した想いは、感謝して受け取ることが大切です。お金の受け渡しというよりも、気持ちの受け渡しが大切な意味をもちます。
    お礼について、決まった形はありませんが、明治時代以降、香典にかぎらず贈答では、いただいた金額の3分の1(三分)~2分の1(半分)程度の品物でお礼をするという慣習があります。全額お返しするのは、贈ってくださった方の気持ちを無にするといわれました。県内では通夜や葬儀の当日にお返しすることがほとんどですが、地域によって三十五日あるいは四十九日を期してお礼をするところもあります。
    供花や供物をいただいた方へは葉書や手紙でお礼状を出しますが、葬儀直後は慌しいので、2週間後程度でいいでしょう。

第5章 お葬式の後に

  • 法事等の追悼儀礼は?
  • 法事等の葬儀後の追悼儀礼は、亡くなった方のことを覚え、感謝するという大切な意味があります。故人が家族、親戚、仲間にとってかけがえのない大切な存在であったことを思い起こし、今あるのは故人のおかげであると感謝し、故人の安寧を祈る時です。
    仏教では四十九日までは7日ごとに法事をします。地域や寺によっては僧侶が訪問してくれるところ、反対に遺族が寺に参ることもあります。一般に初七日は葬儀のすぐ後に来るからと、遺骨を迎える還骨法要に引き続いて行うケースも多いですが、地域や宗教者の考えで異なります。
    五七日の三十五日または七七日の四十九日には関係者を招いて法要・会食を行います。四十九日までは遺族は喪に服して、日常的な雑事には係わらず、喪に専念していいとされてきました。
    その後百か日、一周忌(1年後の命日)、三回忌(数えで計算するので、実際は2年目の命日、以下同)、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌、五十回忌と続きます。三十三回忌または五十回忌をもって法要を終了することを「弔い上げ(とむらいあげ)」といいます。
    法事には遺族以外は平服で参加してよく、遺族の場合も黒の喪服を着用するのは一般に一周忌または三回忌までの喪中にあるまでで、それ以降は平服でかまいません。
    神道では、五十日祭までは毎日朝夕に霊前日供の儀を行い、翌日祭(葬儀の翌日)、その後10日おきに霊前祭を五十日祭まで行います。一般に五十日祭の後に清祓い(きよばらい)の儀を行い、これが済めば神棚の白紙を取り除き、神社への拝礼も元に復します。百日祭、一年祭と行い、その後は10年ごとに五十年祭まで行います。
    キリスト教では特に追悼儀礼は定められていません。カトリックでは「命日祭」、プロテスタントでは「記念会」と呼ばれることが多いようです。
    一般に死亡後に1年間が経過しない場合には、11月下旬から12月初旬に「喪中はがき」を出します。「喪中につき新年のご挨拶をご遠慮申し上げます」という定型文があります。「ご遠慮申し上げます」を「年賀状を出さないでください」と誤解することがありますが、遺族から「本来は新年のご挨拶をすべきところですが、喪中にあるため新年のご挨拶は差し控えさせていただきます」という意味です。
    喪中はがきを出すのは、一般に、親(同居している場合の配偶者の親も)、配偶者、子どもとの死別の場合です。もし年賀状をいただいたときには1月15日を過ぎてから「寒中見舞」として挨拶をします。